第2歩 誇り
この日は予め、ゆうきのやりたいことを一緒にやろうと言っていた。
お母さんが学校にはお休みしますっていうから、と。
ゆうきは普段、元氣なんだけど、どうしても学校に行きたくないという日には、
自分で学校に電話をして、「お休みします」と先生に伝えることになっている。
というか、私がそういう風にしたのだ。
というのも、何年生の時だったか、毎日のように学校に行きたくないというゆうきを
無理に行かせたくなかった私は、毎朝、学校へ「お休みします」と電話で伝えていた。
が、これが結構、苦痛なのだ。
電話に出られる先生にもよるが、なんか声の調子から、親子そろって批判されてるように感じることもあったりして、できればこんなこと毎日はしたくなかった。
それでも、ゆうきのためと思ってしばらくは続けていたが、当の本人は、毎日涼しい顔して休んではゲームばかりして楽しんでいたりすると、なんだかだんだん腹が立ってきて、誰のためにイヤな思いしてると思ってるねん!と、無意識に、ゆうきを学校に行かせたいと思うようになっていた。
だけど、「私が学校に電話するのがイヤ」だから、「嫌がるゆうきを無理やり学校に行かせる」ってどうなん???
そこで、体調が悪くて休む時には、私が電話をかけることにして、
ゆうきが、自分の意志で行きたくない時には、自分でかけるということにした。
そしたら、ゆうきが学校を休むことに対して、
以前だったら、無理には行かせたくないけど、でも一方で、「また電話せなあかんのか!」という腹立たしさが湧いてきて、相反する感情の狭間でずっとモヤモヤしていたが、
今では、「あ、そう。今日は休むんやね。」と、心がザワつくこともなくなった。
前ふりが長くなったが、そんな訳で、ふだんはゆうきが自分で電話をしなければならないが、
今日は私が電話するので、ラッキーな日であるはずだった。
ところが、電話をしてる時に、突然ゆうきがこう言った。
「ゆうきが先生に話したい!」
えっ? なにを???
一体、なにを話すのだろうと横で聞いていると、ゆうきは先生にこう言った。
「今日は、家でお母さんと勉強するので、お休みします!」
ふだんは、弱々しい声で電話をかけているゆうきだが、
今日は堂々と誇らしげに話しているのを聞いて驚いた。
そして、そんなゆうきを、私も誇らしく思った。
前晩、近所の公民館でやっている卓球クラブに行った時に、
絵手紙をされてる方から頂いた二枚の絵ハガキ。
私が今、ゆうきとやり始めたことは、まさにこれ!
子供たちが生き生きと、命いっぱい輝きながら
自分たちの人生を幸せに生きていくお手伝いをすること。
たまたま頂いた絵ハガキに、祝福されているようで、とても嬉しかった。
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